【2020.10.9 昨年書いた記事について ご質問が増えたため加筆しました】
寒くなってきたと同時に風邪で来院する小鳥さんが増えています。
小鳥が病気になった時は保温と安静が必要です。
また、お店で買ってきたばかりの小鳥は、
最初のうちはお店と同じ温度にして 一週間はケージから出さず休ませてあげて下さい。
お家に連れて帰ってから保温不足や 寒い室内に出して 風邪をひくケースが多いです。
病鳥の保温は28~30℃くらい、湿度は50~60%が良いです(病気療養の場合の保温の強度については主治医に相談して下さい)。
これくらい温度を上げるには、よりそいヒーターではなくヒヨコ電球やパネルヒーターが必要ですし
お部屋全体をエアコンやオイルヒーターなどで22℃以上にしましょう。
マイカなどの遠赤外線パネルヒーターだけでは空気が温まりませんので、必ずエアコンやオイルヒーターなどお部屋の空気を暖めるものを併用しましょう。
写真は、ヒヨコ電球とパネルヒーターを使ってプラケース内を30℃に保温する方法の例です。
このプラケースのサイズは 文鳥やセキセイインコなどの超小型鳥の絶対安静用です。
元気になってきたが長期療養で保温が必要な場合や 愛鳥さんの体格に合わせてもっと大きいプラケースやルーミィが必要になったり ケージを利用する方法もあるでしょう。状況に合わせて調整しましょう。
ヒヨコ電球は鳥が長時間直接触れると火傷しますので、必ずケージやケースの外側につけて下さい。ビニールやプラケースを溶かすくらい高温になることがあるので接触しないよう注意しましょう。
上が室温25℃、下が室温22℃の場合です。プラケースの中を30℃まで保温するには
室温25℃では電球は20Wで十分でしたが、室温22℃では40Wが必要でした。
プラケース内の温度は室温にとても左右されることが分かります。
中に入っている温湿度計はデジタルで 最低最高温度を後から確認できます。
見ていない時の温度を後からチェックできる 保温の必需品です。
温度と湿度を1時間ごとにグラフ表示してくれる、タニタTT-580もおすすめです。
今回使ったのは
・ニッソープラケース 中(白)耐熱温度70℃
・ブックエンド 無印良品 大・中
・アサヒペットヒーター(ヒヨコ電球) 20W・40W
・サンコーパネルウォーマー 14W プラケースの外側の下半分に敷く
・KEYNICE デジタル温湿度計(HC520-USB)*
・上に掛けるバスタオル
・パネルヒーターの下に敷く雑誌
*その他のおすすめデジタル温湿度計はタニタグラフ付き温湿度計TT-580
また写真中ではサーモスタットは使っていませんが 温度の上がり過ぎを防ぐためにサーモスタットもあると安心です。
おすすめはマルカンMLP-65デジタルサーモ300 です。
初めてでも使い易く、真っ暗な中でも温度表示が光って見え安心です。
ヒーターやサーモスタットはネットで買えますし、当院にも大体有りますので気になる方はお声をかけて下さい。
写真では使っていませんが、もしビニールカバーを使う場合は 洗って臭いが気にならなくなるまで干してから使用しましょう。
洗わずに使うと保温電球の熱で揮発性物質が発生し、原因物質は不明ですが鳥さんの具合が悪くなった例があります。ビニールの種類は熱に強い物を選びましょう。保温器具が接したり、火花などで引火しないよう十分注意して下さい。ビニールをかじってしまうと胃腸閉塞の原因になるので 愛鳥が触れないようにして頂くと良いでしょう。
ビニールカバーを掛けるのが心配な方は鳥かごの周りを木枠で囲って 透明アクリル板を取り付けて下さい。全ての面をアクリル板で遮へいする必要はありません。
それができない場合は高価ですが鳥用のアクリルケースを購入されることをお奨めします。アクリルケースのサイズは、鳥かごの外側に保温器具を取り付けた時に アクリル板まで5cmほどの余裕があるサイズを購入しましょう。受注生産してくれるネットショップもありますので探してみて下さい。長期に保温が必要な子や老鳥さんにはアクリルケースがお奨めです。
鳥の保温には色々なやり方があります。
おうちの状況によって使う器具や設定は異なるので 獣医師に相談して頂きながら 最終的には飼い主様がご自身でデジタル計で温度チェックして調整して下さい。
お話を丁寧に伺っても 実際の状況に行って見てみないと完全なアドバイスはできないのが保温管理の仕方です。
毎日の天気や鳥さんの具合によっても設定温度や環境を変える必要があります。
とにかく毎日の微調整が大事です。
保温が必要な子は微調整を飼い主様の生活の一部にして 頑張ってくださいね^^
初稿 2019.10.30
加筆 2020.10.09