小鳥担当の副院長よりお知らせです。
世界中の鳥の獣医師が参加している学会「米国鳥類獣医師協会(AAV)」に参加していますが
この度 RACE認定2024年度の教育セミナー全21クラスを受講し 受講後のテストに合格し修了証を頂きました。
病気の治療だけでなく 貴重な野生のオウムの保護活動や、米国での保護後有償譲渡にかかる免許制度の改正など様々な新しい知識を学びました。
その中で ある種の小型インコに起きる 食餌関連かもしれない異常が言及されました。
学術的に病態が明らかにされていないため絶対とは言えないのですが 今までの常識が変わる可能性があるためHPでお知らせすることにしました。
それは
① マメルリハ、セキセイインコ、コザクラインコ、オカメインコの色変わり品種(ノーマル以外の色)において
② 実際に食べている餌全体のうち ペレットが90%以上を占める場合に
③ 原因不明の尿細管障害が認められることがある。
ということです。
腎臓の組織検査で確認されているだけで詳しい原因は分からないそうですが
ペレット90% 以上給餌の上記の鳥種において 早期の尿細管障害ならペレットの量を60%以下にすると組織学的な異常が改善するが
しなければ進行すると言及されていました。但し どの程度の数値なら改善するかは示されませんでした(Avian Renal System:Anatomy to Clinical Perspectives)。
つまり、講師らの経験上は 上記の色変わり鳥種にはペレットは実食全体の60%以下にした方が良い ということになります。
ペレットの給餌割合について当院ではオウム・インコについてはハリソン博士の方針に従い全体の80%を理想としてきましたが
該当鳥種については 成長期や繁殖期・換羽期などの短期間を除き
60%以下を今後は推奨していきます。
言及されなかった鳥種についてはわかりませんし、今回の内容についても将来的に覆される可能性はあります。
論文化もされていませんので 今まで当院で飼育指導をさせて頂いた皆様に こちらよりご報告させて頂きます。
胃が弱いなどの理由で ペレットまたは流動食を与えている鳥さんには
小さい種類のシードの消化を良くするためふやかす方法や 植物性たんぱく質が摂れる豆製品に慣らす方法などを診察時にお話ししております。
画面右下の当院インスタグラムやフェイスブックでもご紹介していますのでご覧下さい。
最後に、今回ご紹介した内容は米国鳥類獣医師協会全体の声明ではありませんので
病気の治療のために完全ペレット食や流動食にしている場合は主治医の先生にご相談になってみて下さい。
画像はセミナーの修了証です。
2025.1.29