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菜の花動物病院
AAV資料要約 トリボルナウイルスについて

近年、国内の一般的なペットバードでも以前より増えていると感じる「トリボルナウイルス感染症」。

どのような感染症なのか、治るのかという飼い主様向けの情報がとても不足している中、
アメリカに拠点を置く鳥類獣医師協会(AAV)が飼い主様向け資料を作成しましたので 分かりやすく訳して要約しました。著作権はAAVにありますので 転載を禁止させて頂きます。

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トリボルナウイルス感染症と腺胃拡張症について(要約)

トリボルナウイルス感染症( Avian Bornavirus infection )は、現代の鳥類医学が直面している 悩ましい病気です。
トリボルナウイルス(ABV)はまずアメリカで発見されてから世界中で報告されるようになり、
世界中の飼育下のオウムから少なくとも8種類が発見されています。

トリボルナウイルスはエンベロープをもつ一本鎖RNAウイルスで、糞便に(間歇的に)排出され、また卵を介しても感染します。潜伏期間は数日間と短いこともあれば、10年もの長きにわたることもあります。

生前の確定診断は難しいですが、血液中の抗体の検出と、PCRで特異的な遺伝子配列を検出する方法を組み合わせるのが一般的です。(※訳注 これは欧米での話で、日本では抗体検査は一般的には行われていません。) 

トリボルナウイルスはアメリカとヨーロッパでオウム目の鳥に広がっているという報告がありますが、感染を確定するのが難しいので実際の感染率は報告より高い可能性があります。

トリボルナウイルス感染により起こる腺胃拡張症(PDD)は50種以上の鳥で報告があり、白色オウムやオカメインコ、クサインコ、ボウシインコ、コニュア、オオハナインコ、ヨウムそしてラブバードにも発生しています。またカナリアやフウキンチョウ、フィンチをはじめ、水鳥やオオハシ、猛禽でも報告があります。

トリボルナウイルスに感染した鳥は多種多様な症状を示します。多くは消化器症状ですが、初期には神経症状のみだったり、消化器症状と神経症状の両方を示すこともあります。一旦発症すると、治る見込みは薄くなります。

消化器症状が起こる主原因は腺胃の機能低下です。腺胃とは鳥の胃の消化液を分泌する部分です。
腺胃に異常が起こると食物を正常に消化吸収できなくなるために、元気が無くなったり、痩せたり、吐いたりすることが多く、未消化の便をすることもあります。腹部膨満、不活発、虚弱、下痢、固形便が減ったり水分尿が増える例も報告されています。

神経症状としては ふらつきや震え、沈うつ、異常な頭部の動き、そして発作が起こることもあります。

病気の進行を確実に止める治療はまだありませんが、炎症による悪化を防ぐために非ステロイド系抗炎症薬や免疫抑制剤で治療する獣医師もいます。

病状を抑えられるかどうかは、手厚い看護や二次感染の治療、また高品質で消化の良い食餌を食べさせられるかどうかにかかっています。

トリボルナウイルスは糞便に間歇的に排泄されるため、PCR検査で陰性であっても ウイルスに感染していないとは言い切れません
検体とする糞便やクロアカ及びそ嚢の拭い液は数日分を採取し一つにまとめて検査すると 偽陰性になる可能性が低くなります。

PCRが陽性になれば、それはトリボルナウイルスに感染している、あるいはウイルスが存在している証拠になります。
しかし、いつ発症するのか、それとも発症しないのか、どうすれば発症を防げるのかは予測できません。
トリボルナウイルスに感染した鳥全てが腺胃拡張症を発症するわけでは無く、感染しても何年もの間発症しないこともあれば、全く発症しない鳥もいます。

検査で陽性になった個体を安楽死することは奨められません。その代わり、陽性鳥は陰性の鳥達と隔離しましょう。オウム目の鳥はトリボルナウイルスを自分の免疫で体外へ排出することはできないといわれているため、感染は一生続くと考えられています

抗ウイルス薬による治療は今日まであまり成功していません。広域スペクトルの抗ウイルス薬であるリバビリンは培養細胞に対して有効であることが最近実証されましたが、一般的に広く治療に用いるには更なる情報が必要です。

病気の伝播についてはまだ不明な点があるものの、トリボルナウイルスは間歇的に糞便に排泄されることと、ほとんどの消毒薬や殺菌剤、日光に弱いことが分かっています。
ですから 愛鳥を感染させないためには 適切な衛生管理が大切です。

多羽飼育家庭でトリボルナウイルスに感染している鳥が見つかったり、疑わしい症状が見られる鳥がいたら、できるだけ早く隔離して下さい。そしてお世話をするときは 陰性鳥を先、陽性だったり症状がある子を後にして、一羽お世話する毎に手を洗いましょう。

トリボルナウイルスや腺胃拡張症についてのお話はなかなか分かりにくいことと思いますので、この文章を読んで質問や気になることがございましたら かかりつけの鳥獣医師にお尋ねになってみて下さい。

©AAV 鳥類獣医師協会 2020
その他の日本語版公開資料はこちら https://www.aav.org/page/japanese-resources

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いかがでしたか? 

PCRで陽性であればウイルスは存在しているということ、隔離と衛生管理が他の鳥に感染させない方法だということが書かれていました。

また糞便や拭い液のPCRで陰性だからといって感染を否定できるわけではなく、潜伏期間も数日と短いこともあれば、十数年と長いこともあると明記されていますね。
偽陰性と潜伏期間の問題は悩ましく、このウイルスの防疫が非常に難しいことを感じます。

多羽飼育している中で疑わしい症状があり 残念ながら亡くなってしまった子が出た場合は、つらいですが 他の愛鳥さん達のために死後検査をして頂くことをおすすめしております。

死後検査では、トリボルナウイルスが居座りやすい脳のPCR検査を行うと検出率が上がります。また 解剖時に異常が見られた臓器や、生前の症状が関係していそうな臓器を、培養や病理組織検査に供します。特に脳組織の検査には 全身を献体して頂くことが必要になりますが、検査機関によってはご遺骨をお返しできる場合もございます(R2年現在)。

生前から、もしもの場合 死後検査をどうするのかを何となく鳥さんやご家族様、担当医とご相談して頂けると良いかと思います。亡くなられた愛鳥さんが教えてくれる情報は非常に貴重であり、他の子達の治療や命に繋がっていきます。

ボルナウイルスについてはまだ分っていないことが多いために 正確な情報を発信することが難しく、臨床的な情報は少ないと思います。

もし何か情報を得られた時は 発信元や参照文献があるのかということをお気にかけて頂き、ご不明な点は鳥を診察できる獣医師にご相談下さいますようお願い致します。

訳 今西奈穂子

2020.12.27

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